私はライターをしている。まだ1年目だけど、前だけを見て一生懸命に取組んでいる。そんなときのことだった。
一昨日の夕方、17時過ぎ。パソコンの前で私は震えていた。衝撃、落胆、悲しさ。全部が入り混じった感情に、押しつぶされそうになっていた。きっかけは、数日前に提出したライティング案件の大きな修正の連絡。修正は日常茶飯事だし、慣れてはいるけど、それだけではなかった。
継続案件の2回目のお仕事。前回フィードバックをもらっていたので、同じ指摘をされないように自分では注意しながら進めていた。同じ案件を複数のライターで進めていくから、先に入っていた他のライターさんが書いて納品された原稿を参考にして、レベル感を近づけられるように努めた。
2回目原稿の校正は、前回と同じ担当者で、修正点は一気に減り、「よかった、この書き方で合っていたんだ。」そう思っていたら、最終確認のディレクターから、コメントの嵐。どうやら何かが違っていたらしい。
早く修正しないとと思ってチャットを開いた。スレッドの未読分を読みすすめているうちに、大きな違和感を感じる。
その違和感の正体は、ディレクターのメッセージ。私が知らないところで、私の次の案件の記事について、他のライターに巻き取り(代わりに書いてもらうこと)の依頼がされていたのだった。何度メッセージを見直しても、私への事前連絡はない。大きな修正には耐えられたけど、連絡なしの案件巻取り依頼には本当にショックを受けてしまった。
なるほどね、替えがきいていたわけだ。
ライターとして短い期間ではあるけど、300記事ほど書いてきた。でも、こんなことは初めてで、心底落ち込んだ。そんなに悪いことをしてしまったのだろうか。
結局、1件だけ案件の巻取りがされた。幸い未着手の分だったけれど、その案件に私が着手していたら、どうだったのだろう。私の中で、そのディレクターへの信頼は崩れ去ってしまった。あまちゃんかもしれないが、今の私にはとても笑って受け流すことはできなかった。
しばらくパソコンの前で動けずにいたけど、やっと我に返って、なんとか修正点を確認する。修正のコメントはいつも通り厳しい。「だから?」「おかしい」とコメントが続く。確かにと思った箇所はあったが、前回OKだった部分にもコメントが入る。どうしたら正解なのか、私にはわからない指示もあった。
大きな案件の大きな修正だったので、他の案件を終わらせた後、午前4時過ぎまで修正をしていた。ひたすら繰り返されるダメ出しのコメントを読んでいると、いつも以上に気が滅入っていった。
ライターは仕事だけど、会社員のような仕事ではないのだと実感している。会社員は、会社のルールを守っていたらまず信頼を失うことはない。挨拶をして、礼儀正しく電話をかけて、メールにはすぐ返信して、打ち合わせには遅れずに参加して、前向きに頑張っていれば信頼してもらえる。
でも、ライターで在宅で仕事をしている場合、挨拶ができて、メールのレスポンスも良くて、修正が早くて、…でも執筆する文章がよくなかったら、簡単に信頼を失ってしまうのではないだろうか。あのライターさん対応は早いけど、文章がね…。みたいな。でも感じが悪いよりはいいのだろうか。
ライターは書いた文章が評価の対象となるという厳しさを痛感した。
自分の文章はまだ未熟だけど、適当な文章ではない。そのときに自分ができる最善の文章を書いているつもりだ。できる限りの力で考えた文章でも、それでも何かがダメだと、こんなことになるんだなと実感した。
身も心もつらくなっていった、午前4時。
やっと修正が終わった。もう腕は痛いし、意識は朦朧としている。
パソコンを消そうとタブを閉じたとき、ふと目に入ったライタープログラムのチャットに、私あてのメンションがあったのを見つけた。
私が添削を担当している受講者の方からのメッセージ。
「nanatさんからのコメントが楽しみで、読むとうれしくなります。」
その瞬間、なんとか堪えていた涙が一気に溢れだした。
午前4時なのに、パソコンに向かって大泣きしてしまった。
私なりに一生懸命、相手のことを思って書いていた文章。それが伝わるということが本当にうれしかった。
そして、それを教えてくれたメッセージの一文で、こんなにも救われるときがあるのだ。
ライターとしての経験は浅いけれど、文章を書くときは相手がどんな顔をするか考えるようにしている。こう言ったらこう思うかなというのは意識するし、できるだけ私の中の本心を伝えられるように言葉を慎重に選ぶ。
ライターとしての期間が短い分、その中で吸収したことは全部伝えて、共有して一緒に成長したいと思っている。
そして、少し寝て起きて、Twitterに少しだけこのことを載せたら、一緒にプログラムのメンターをしている先輩ライターさんが、「コメントの大ファンです。」と言ってくれた。本当に暖かい言葉に、また泣いてしまった。
他にも、たくさんの人が反応してくれた。つらいことはあるけど、仲間がいる。そう思えた。
ライタープログラムで知り合った仲間、
7月期の仲間、
ライターコンサルの仲間、
noteの仲間、
Twitterの仲間、
リアルでつながっている友人、家族。
その他にだってたくさんいる。
今回のことで、誰かのための文章を書ける仕事をしたいという気持ちが固まった。
気持ちを大切にする仕事。人に喜んでもらえて、勇気づけられる言葉を綴りたい。
そのために、今を頑張ろう。